京都から東京まで原付で行ってみた 完結編

珍道中シリーズ

どうも!挑戦者です!

前回ガソリンスタンドのおじさんに、この先は雪で原付じゃ行けないかもしれないと言われ、そんなこと考えてもなかった……となっている筆者。どうなる事やら……

第一話はこちら!京都から東京まで原付で行ってみた スタート編

実は積雪については全く予想していなかった訳ではない。出発前に、真冬だし道中滑ったりしない様に気を付けないといけないなぁ。もしかしたら雪が積もってるなんて事も……?

 ま、大丈夫かぁ〜(笑)

っと思って考えるのをやめてしまった。なんて浅はかなんだ!と出発前の自分を恨んだが、静岡まで来ているのだ。流石にもう引き返せない。この先がどんな状況であろうと、取り敢えず行ってみるしかないのだ。なので店員さんに、

挑戦者
挑戦者

もうここまで来て今更引き返せないんです!

と、覚悟を決めて言うと………………

店員さん
店員さん

どうしても行くって言うのかい?

挑戦者
挑戦者

はい、覚悟は出来ています

店員さん
店員さん

…………………わかった。どの道から行こうとしてるんだい?

という気付けば漫画の様な展開に。

1号線を通って行こうと思っている事を伝えると、

店員さん
店員さん

箱根越えか!?絶対にやめておいた方が良い。この時期は雪が積もってる事も多いし場合によってはスタッドレスかチェーン装着の通行規制がでている事もある。急カーブや坂道も多く、車でも立ち往生する事があるのに原付なんかじゃ絶対に無理だ。

挑戦者
挑戦者

もし前に進めなくなったら原付から降りて押して行ったらダメなんですか?

店員さん
店員さん

車でももし動けなくなったら違反になったりするんだ

挑戦者
挑戦者

そんな……何か他に道はありませんか?

店員さん
店員さん

どうしても行くって言うなら国道246号線の方がいいと思うよ

と言われ考えた結果、言う通り国道246号線で行く事に。

二人で地図を確認しながら、ここをこういう風に行って…曲がって…ここから国道246号線に入って……と教えて貰う。

そして今居るバイパスは暫く行くと名前が変わってまた別のバイパスになるのだが、そのバイパスは原付で通行可能なのか聞いてみたところ無理と言われてしまった。そんな……じゃあまたバイパスから降りなければいけないのか……。でもどうしても諦めきれなくて、そのバイパスをGoogleで検索してみた所、そのバイパスは50ccの原付も通行可能となっている。あれ?と思い色んなサイトを見てみたのだが、やはり通行可能となっている。もう一度店員さんに訊いてみると、

店員さん
店員さん

原付は通れないよ!だから絶対手前で降りるんだよ!あのバイパスの入り口はよく警察も張っているから気を付けて!

と言う。困ったな……。でも確かに、見たサイトは市や国のホームページとかでは無かったし、信憑性が高い訳では無い。絶対に合っているとは言い切れない。でも…バイパス…………と諦め切れずに、今度は公式なサイトを探そうともう一度調べてみる事に。

が、その様なものは見つからずに出てくるのはWikipediaやYahoo!知恵袋の解答、個人が運営しているサイトばかりだった。でもその殆どで原付通行可となっているのだ。どうしたらいいんだろう……と悩みながらもそろそろ出発しなければならない。重い腰を上げて出発する。店員さんにお礼を言い、去り際にもう一度、この次の〇〇バイパスは原付で通れないんでしたっけ?と名前を出して少し具体的に訊いてみた。頼む……通れると言ってくれ…………

店員さん
店員さん

通れないよ!絶対に間違えて乗ってしまわない様にね!

と……。どうしようかと思いながらも休憩所を出る。……………………さ、寒い!わかってはいたけどめちゃくちゃ寒い!そんなことは覚悟していた筈なのだが本当に寒い。よくさっきまで原付で走ってたなと我ながら思った。イカれてるよ。完全にイカれてやがる。自分で自分にビックリする。休憩所にもう一回戻ろうか悩むレベルで寒い。でももう行ってきますって言っちゃったし別れた手前もう一回戻るのも恥ずかしい。葛藤した挙げ句、後ろ髪を引かれながらもなんとか出発。

??:⁇ ガソリンスタンドを出発

原付で走りながら次のバイパスをどうしようか悩む。どっちが正解なんだろう…………どうしようかと悩んでいる間にもどんどん進んでいる。答えが出ないまま次のバイパスはもう目の前に。どうしよう………………………どうしよう!一応原付通行不可の標識は無さそうだけど、直前で原付不可の標識が出てきてしまったら気付いた時にはもうバイパスから降りられない状況かもしれないし、どうするのか先に決めておかないと…………………どうしたらええんやー!

……………………………えぇい!乗ってやれ!とそのままバイパスに乗る。一応入り口に原付不可の標識は無かった。ドキドキしながら走っていると、自動車専用道の標識も無いし、横には歩道が有り通りにはお店がいくつか並んでいた。そして時々信号もある。

どうやら原付でも通れるバイパスのようだ。

良かったー…………バイパスに入った瞬間にパトカーのサイレンが鳴ったらどうしようかとヒヤヒヤしていた。本当に祈る様な気持ちだった。

てかあの店員さんの情報はなんだったんだ。普通に通れるじゃないか。

勘違い?まぁなんとかなったからいいけど。でもそうなってくると教えて貰った国道246号線も大丈夫なのかと不安になってくる。行ってみたら原付が通れないバイパスだったとかないよな……でもどっちにしても1号線が無理ならもう教えて貰った国道246号線しかわからない。今から道を調べ直すにも時間が掛かるし。取り敢えず行ってみるしかないのだ。

??:?? 国道246号線へ突入

遂に国道246号線までやって来た。どうやらバイパスの様な道ではなく山を越えて行く大きめの道、といった感じだ。

もう夜中な事もあって、車通りはあんまり無い。ましてや原付なんて絶対に居ないだろう。たまに通るのも大きいトラックばっかりだ。片側一車線の所もあるが、対向車も殆ど来ないので大きいトラックでもスムーズに抜いて行ってくれる。

ただ抜かされる時の風がすごくて少し怖いというのはある。まぁ大きいトラックでさえ頻繁に通る訳じゃないのでそこまで気を使う必要は無いが。

そしてこの道をずっと行けばやっと魔の静岡から脱出して神奈川県に突入する。

本当に早く抜け出したい。

静岡に入ってからどれぐらいの時間が経ったのだろうか。静岡がこんなに横に長いとは思ってなかった。早く静岡から抜け出したい一心でただひたすら原付を走らせる。

そしてしばらくすると、とてつもない寒さに襲われる。そして道が凍っていないか不安になってきた。

路面の凍結について調べた所、ブラックアイスバーンといって道に明らかに雪が積もっていたり凍っていたりしなくて、一見普通の道に見えても凍っている事があるみたいで、特に夜間は見分けが困難らしい。なので道路の状況を注意深く観察しながら走っているのだが、なんだか凍っている様な気がしないでもない。

バイクで滑って転けたら命に関わるだろう。

が、実は私は原付に限らず雪が積もる程寒い地域で運転した事が無いのだ。なので凍っている道を見分ける自信が全く無い。だから気を付けながらゆっくり走るしか無さそうだ。

スピードを落としてなるべく傾かない様に気を付けて走る。心臓も常にドキドキしている。後ろから大きいトラックが来る度に、今ここで滑って転けたら確実に後ろからはねられるな、とドキドキ、そして寒くてガクガクとしながら走っていた。

寒さで頭がおかしくなりそうだ。音楽を流してはいるのだが必死過ぎて余り聴いていなかった。途中、ブルーハーツの[人に優しく]という曲が流れてきた。

「気ぃーがー狂いそーうー」

と流れてきた瞬間、正にその通りだと思った。

そこだけやけに耳に残ったのを覚えている。正気の沙汰じゃないなと思いながら原付を走らせる。

そしてそれからどのくらいの時間が経っただろうか。結構な距離を走ったなー、もう神奈川に入ってるかなーと思い青看板を見ると、ここはまだ静岡だった。しかも神奈川はまだまだ先だった。

え?結構な距離を走ったと思うんだけど…………

まぁまだ先なのか……と思い落ち込みながらもめげずに走り続ける。そしてまたそこから結構な距離を走り、流石にもう神奈川だろう。まぁ最悪そこまで行ってなくてももう神奈川一歩手前だろうと思い青看板を見ると、なんとまだ静岡で神奈川はまだまだ先となっている。

え?そんな馬鹿な。そんなに遠いの?え?と困惑する。そういえば、車の通りが最初より全然無いな…………

ある時、ふと一つの考えが頭をよぎった。

もしかしたら、私はもう既に死んでいるんじゃないか?

神奈川を目指して国道246号線を走っている時に、凍結した道路で滑って転けて死んでしまったが、東京に辿り着けなかったという強い未練が残り、地縛霊的なものになって、もう何十年もこの道を走り続けてるんじゃないか……?だからどれだけ走っても静岡から出られないんじゃないか……?

読者の方々は馬鹿馬鹿しいと思っているかもしれない。ちなみに私は幽霊やスピリチュアル的なものは一切信じていないタイプで、心霊スポットやお化け屋敷も全く怖くない。

が、この時は本気でそう思っていたのだ。

今なら何を言ってるんや(笑)

と思うが、この時は本気でそう考えてしまうぐらい寒くて孤独で静岡は長かったのだ。

そしてこの考えが頭に浮かんでからというもの、あれ?そういえばさっきから全然車が通らないな……

やっぱり私は……………………

と不安に駆られ、車が通る度に、

一人じゃないんだ!

と安心するという情緒不安定に陥っていた。そしてこの後も不安を抱えたまま、

ただただ走り続け………

気付けば御殿場市に突入していた。御殿場市は神奈川県との県境で、多分これを越えればもう神奈川だろう。

という事はこれを越えれば私が静岡の地縛霊であるという説は否定される事になる。

頼む…頼む…!

と祈る様な気持ちで走り続ける。

そして遂に!私は御殿場を越えたのであった……!

⁇:⁇ 神奈川県に入ってすぐのどこかのコンビニ

本当にここまで長かった。

東京はまだまだ先だし、私の中で、自分が幽霊であるという説も完全に否定された訳では無いが、少なくとも静岡の地縛霊では無いようだ。そしてめちゃくちゃ走ったので少し休憩しよう。缶コーヒーを買い、店の外で座って休憩する。そしてまた案の定、動きたくなくなってしまう。

本当に、止まるとめちゃくちゃ寒いのだ。

結局ダラダラと過ごしてしまい1時間程経ってから出発。

07:00 厚木市

もう辺りも明るくなっていた。そして寝落ちしていた知人から、

知人
知人

ごめん!寝落ちしてた!どんな感じ?

とLINEがきた。厚木市まで来た事を伝えると、寝ずに走り続けてたの⁉︎と驚いた様子だった。そして仕事に行くからと家の鍵の場所を教えて貰い、着いたら勝手にベッドで寝といてね、とのこと。

そして朝になって周りが明るくなると、やっぱり私は生きているんじゃないか?と思うようになってきた。明るくなって人通りが増えると心も安定してくる。不安が完全に払拭された訳ではないが………

ちなみにGoogleマップを開くと所要時間は1時間半となっている。あともう少しだ。1時間半なら、休憩したくなってきたぐらいでちょうど目的地に着くぐらいだろう。幸い夜が明ける事で、ほんの少しだけど寒さもマシになってきた。1時間半なら08:30には着くだろうから、あと少し!もうひと頑張りだ!

09:00 神奈川県のどこかのコンビニ

全然着かない………

何故かというと、私の体感だが神奈川に入ってからカーブがめちゃくちゃ多い気がする。要するにクネクネしている。ちょこちょこマップを見て道を覚えて行っているのだけどカーブが多くて自分がどこにいるのか分からなくなる。そして何度も何度も道を間違える。なので一向に進まないのだ。日が昇った事によって方角もわかるのだが、何度もカーブするので自分がどの方角に向かって進んでいるのかもわからなくなる。そのせいで何度も停まって道を確認する羽目になり、疲れてきたので休憩することに。

コンビニで缶コーヒーを買って飲みながら今度は道をしっっっっっかりと覚える。もうゴールは目前だ。自分を奮い立たせて再出発する。

覚えた道を走り出す。よし、順調だ。

そしてその5分後にまたもや迷子になる。

えぇい!もう勘で行ってやれ!と、がむしゃらに走る。たまにナビも見るけど殆ど勘で走る。ひたすら走る。ナビを見て全然違う方向に進んでいた事に気付いても落ち込まないように、とにかく何も考えないようにして道を引き返す。

本当に無になって走る。考えるな!何も感じるな!走れ!とにかく走れー!

すると…………

なんと、なんと!

なんと……………!

10:30 目的地に到着

長かった…………(涙) ほんっっっっっっとうに長かった(涙)。知人に、

挑戦者
挑戦者

着いたよ!!!

とLINEする。そして何より寒くて寒くて堪らないので知人の家に入り、とりあえず暖をとれるものを探した。ベッドがあるのだが、私の身体は芯から冷え切っているのでベッドに入っても暖かくなるまで時間が掛かりそうだ。そしてお風呂も思い浮かんだのだけど、とにっっかく疲れているのだ。真冬に原付で25時間も走って風呂に入る元気など有る訳が無い。なのでもっと簡単に、手っ取り早く暖かくなるもの……………

コタツがあるじゃないか!コレだ!

と思い震える手でコタツのスイッチをON。そして丸まって全身をコタツの中に入れる。すると、熱源がみるみる熱くなってきた。身体が暖まるのも時間の問題だ。暖まったら布団に入って寝よう。と思い震えながら暖まるのを待っていると、

あれ?なんか全然暖かくならないぞ……?

コタツをよく見てみると、電源が切れている。あれ?間違えてOFFにしちゃったのかな?と思いもう一度電源を入れる。するとまた熱源が熱くなってきた。暖かい!と手をかざしていると、すぐに電源が切れて冷たくなってしまった。あれ?壊れてるのかな?それとも私の身体の冷気が凄すぎて電源が落ちてしまうのかな……?流石にそんな訳ないか(笑)と思い、壊れてるならもうベッドしか無いので着替えてベッドに入る。

めちゃくちゃ寒い。そして何故か布団がめちゃくちゃ重い。かなりの分厚さの掛け布団に、分厚い毛布が乗っかっている。まぁ寒いし布団が多い分には良いのだけど。でも冷え切った身体がそんなすぐに暖まる筈もなく、ベッドに入っても一人でただガクガクと震えている。本当に耐え難い寒さだ。寝てしまえれば楽になるんだろうけど、こんなに寒いのに寝れる訳が無いと思いながら目を閉じる。

そしてその後の記憶は5秒しか無い。

すぐに寝れたのだ(笑)

番外編 知人の帰宅

急に電話が鳴って目が覚める。眠りに落ちてからまだ5分ぐらいしか経ってないのに…………

電話に出ると、もうすぐ仕事が終わるから飲みに行こう、とのこと。

挑戦者
挑戦者

あれ?今日は昼に仕事が終わるの?

知人
知人

え?何言ってるの?もう夕方だよ?

…………………いやいや(笑)

さっき寝たとこやで?と思い時計を見ると、もう夕方だった。えっ……起きた時に、もうこんな時間?という事は確かにあるけど、それにしても今日は時間経つの早過ぎるやろ!とびっくりした。本当に体感では5分ぐらいで、ついさっき寝たとこ、という感じだった。そして知人がもうすぐ家に着くから用意して降りて来て欲しい、と。疲れはだいぶマシになっている。が、まだまだ寝れるぐらい眠い。それを察したのか、絶対に二度寝しないでねと念を押され、なんとかベッドから這い上がり準備をして家の前で知人を待つ。

5分ぐらいすると、前の方から知人が爆笑しながら歩いて来る。

挑戦者
挑戦者

久しぶり!

と声を掛けると、

知人
知人

本当に原付で来たの!?

と笑いが止まらないようだ。そしてそのまま飲みに行ってこれまでの珍道中を語り、知人の家に泊まる。次の日は朝から二人で東京観光をして、夕方からは飲みに行った。

が、私は飲まない。何故かって?

仕事があるから帰らなければならないのだ。

なにで帰るのかって?

もちろん原付だ。

知人は、原付は何かで送って新幹線で帰ればいいじゃんと言うが、私は負けず嫌いで謎のプライドが有り、原付で行ったからには原付で帰って来ないと!帰るまでが遠足!と、原付で帰る気満々なのだ。

実は、ネット上でも関西ー関東を原付で行ったという人はいるのだが、帰りも原付で帰ったという人は余り居ないのだ。なので帰りも原付で帰ってこそや!と行く前から思っていた。なのでもちろん原付で帰る。

が、今日朝起きた時から帰りたくない思いでいっぱいだった。

だってまだ昨日の朝着いたとこなんだもん。東京の行ってみたい所だってまだまだいっぱいある。

正直、観光している間もふとした瞬間に、今日の晩には帰らないといけないのか……と思っていた。

仕事は3日後だけど、帰って次の日から仕事となるとしんどいし、かといって行きの様に一日で帰るのもキツいので、余裕を持って今日の晩ぐらいには出発しておきたいのだ。でも本当に帰りたくない。どうしよう。帰りたくない!嫌だ!せめて新幹線で帰りたい!どうしよう…………!!

to be continued

続きはこちら!

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