京都から東京まで原付で行ってみた 魔の静岡編

珍道中シリーズ

前回、カップラーメンで至福のひと時を過ごした筆者。夜の人気のないコンビニのイートインで、ガクガクと震えながら若い女がカップラーメンを満面の笑みで貪る姿に店員もさぞビックリしただろう。そして今回は魔の静岡編!挑戦者の勇姿をご覧あれ。

前回はこちら!京都から東京まで原付で行ってみた 名古屋編

第一話はこちらから京都から東京まで原付で行ってみた スタート編

22:30 浜松市のコンビニを出発

取り敢えず今いる道をひたすら走る。ちなみにいま走っている道は原付が通行出来るバイパスで、道は広いし信号は少ないしほとんどずっと直線なのでかなり走りやすい。そして夜なので道も空いている。ただ気を付けたいのが、ちょっとした高速道路の様になっているので制限速度以上のスピードを出している車やバイクも多いという事。筆者の体感では平均70〜80km/hぐらいで流れていて、たまに100km/hぐらい出ている車もいる印象なので事故には注意したい。

そして静岡市まで〇〇km(約100kmぐらい)という案内標識を見て、なんとなくだが静岡市まで行けば神奈川県ももうすぐだろうと希望を抱き取り敢えず静岡市を目標に頑張る事に。静岡市まで行けたらもうゴールは見えた様なものじゃないか?あと少しの辛抱だ!と気持ちを奮い立たせ原付を走らせる。そして順調に浜松を抜け、磐田市、袋井市、掛川市、島田市まで行った所で、突然この先原付不可の文字が出てきた。そんな!静岡市まであと約30kmなのに!また道を探す所から始まるのか……

でも文句を言っても仕方がないので原付が通行出来るギリギリまで行ってバイパスを降りる。

23:30 島田市のコンビニ

泊めてもらう予定の知人から静岡抜けた?とLINEがきていた。コンビニで停まる度に予定より少し遅れそうだと伝えていたのだが、今回またバイパスを降りる事になってしまったのでさらに遅くなることを伝えなければいけない。一体何時に着くのだろうか。出発する時は所要時間12時間で到着予定時刻21時となっていたが今はもう23:30だ。予定が遅れに遅れている。今ナビでは所要時間5時間半で到着時刻が朝の5時となっているが、また今から道を調べないといけないし、この先もどれだけ迂回しなければならないのかわからない。一体何時に着くのだろうか。今までの事から考えるとナビが示す朝の5時にも着かないだろう。取り敢えず何時に着くかわからないという事を伝えると、原付で1日で来ようとしてるのが無謀!笑

と、初めからわかっていたかのような返答だった。こんなに時間がかかるとは思わなかった。予定の時間より少しずつ遅れてはいたが想定の範囲内だった。それが静岡に入ってから一変した。全ての犯人は静岡だ。静岡への恨みを募らせつつもとにかく寒いので取り敢えずコンビニへ行く。

コンビニに入ると、ここは天国かと思うほど暖かかった。温かい飲み物でも買ってイートインで少し休もう。ホットコーヒーと、普通の貼るカイロとつま先用の貼るカイロを購入してトイレに行き、貼るカイロを背中に3枚、お腹に1枚、つま先用のカイロをつま先にセットする。間違っても足が寒いと思っている訳では無い。もし転倒したりした時に足が冷たくて不自由だと困るからだ。足はガクガクと震えている。が、決して寒いと思っている訳ではない。読者の皆さん、そこだけは間違えないで下さい。

伊賀市のダイソーで買った貼らないカイロを、ポケットの中にスマホと共に入っていた古いカイロと交換する。そしてマフラーの中にも貼らないカイロを入れて首に巻く。完璧だ。これ以上無いくらいの完全防備だ。足に関してはやり過ぎなぐらいだ。あとはホットコーヒーで身体を内側から暖めるべくイートインに座る。もはや暖かい店内で飲む熱々の缶コーヒーが至福の時間となっている。イートインでガクガクと身体を震わせながら缶コーヒーを開けようとする私に店員が近づいて来て、こう言い放った。

店員
店員

すみません、今の時間はイートインが使えません。

なんという事だ。天国から地獄に突き落とされた気分だ。スマホも充電しようと思っていたのに。仕方なく外で缶コーヒーを飲んでいると、とてつもなく寒い。体の震えが止まらない。さっき私にイートインは使えないと言った店員が店の中から、何してんだろコイツといった表情でこっちを見ている。そりゃあそうだ。ハタチそこらの女が夜中に震えながらコンビニの前で缶コーヒーをすすっているのだから。きっと異様な光景に違いない。カイロもまだ暖かくなっていないしとにかく寒い。でも次の道を探さないことには何も始まらないので新たな道を探すのだが、周りを見渡すと山ばっかりでバイパスの側道なども無さそうだ。グーグルマップを見てみると南に下れば大きい道があるのでそこから行くしかない。かなり遠回りしなければならない。もはや果てしな過ぎて動く気にもならない。まぁイートインに入れないので止まっていても寒いのだが。しかもLINEしていた知人はどうやら寝落ちしてしまったようで、一人になると一気に心細くなってきて心が折れそうだ。自分は一体何をしてるんだろう。どうしてちゃんと道を調べておかなかったのだろう。そんな思いが頭を駆け巡る。でも不思議と自分の中に諦めるという選択肢は無かった。だからやるしかないのだが、あまりの寒さに身体が動かない。ここで止まっていても仕方がない事はわかっている。わかっているけどどうしても身体が動かないのだ。

コンビニの前でただガクガクと震えること約1時間。流石にらちがあかないのでようやく動き出し原付にまたがる。

01:00 島田市のコンビニを出発

カイロももう暖かくなっている筈なのに寒さは全然変わらない。自分の装備の甘さを痛感しながら走り出す。少し時間が経つと身体の震えが少しマシになってきた。休憩してる時よりも運転している方が集中してるので寒さを感じにくいのかもしれない。気持ちも少し明るさを取り戻した。寒いと身体だけでなく精神的にも辛いみたいだ。

しばらくバイパスの南にある大通りを走っていると、さっき通れなかったバイパスが違う名前になっている事に気付く。もしかしたらバイパスの原付通行不可の区間はもう過ぎたのかもしれない。やはりバイパスを走るのが一番早いように感じるので、出来ることならバイパスに乗りたい。という事でもう一度バイパスの方へ行ってみることに。

すると原付不可の標識は無く、ルンルンでバイパスに乗る。頼むからもう原付不可にならないでくれと祈りながらバイパスを駆け抜ける。

そしてようやく静岡市に突入する。静岡市に突入した時あまりの嬉しさに、来たぜ静岡!と思わず呟いてしまった。とっくに静岡県には入っているのだが笑

しかしそんな風に浮かれている私を現実に呼び戻すかのように目の前に現れた原付不可の看板。

どうせこうなる事はわかっていた。わかってはいたのだが、また迂回する為の道を探す所からスタートだと思うと全てが振り出しに戻った気分だ。

ともあれ取り敢えずバイパスから降りなければいけないのでバイパスから降りて停まれそうな場所で停車する。コンビニに寄ろうと思ったのだが、さっきコンビニで休憩している時の方がより寒さを感じたのでコンビニには寄らずその場ですぐさま道を調べて出発することにする。それに休憩している時の方が精神的にも辛くなってくる。

そして今回は幸いにもすぐに良さそうな道を見つける事が出来たのですぐさま再出発する。ちょっと停まっていただけなのにまた身体はガクガクと震え出していた。そしてしばらく走るとさっきと同様に震えが少しマシになってきた。走っている時の方が寒い筈なのだが、やはり運転に集中することによって寒さを感じにくくなるようだ。でもそれってちょっと危険なんじゃないか?と思う。だって本当は動けないぐらい寒いのにそれに気付かずバイクを走らせて、どんどん身体を冷やし続けているということじゃないか。大丈夫だろうか…………

と思いながら走り続ける。

そしてここからは時系列や場所の記憶が少し曖昧な事をお許し下さい。

原付が通行出来ないバイパスを迂回してしばらく大通りを走っていると、どうやらバイパスの原付が通行出来ない区間は終わっていそうなのでまたもやバイパスに乗り快適に走っていた。このバイパスが原付で通行出来る事は乗る前に調べていたのでわかっていたのだが、地図を見るとまたどこかでバイパスの名前が変わっており、そのバイパスも原付が通行出来るのかについては不明だ。そしてもうすぐバイパスの名前が変わるというところでガソリンスタンドがあり、ちょうどガソリンがもうすぐ無くなりそうだったので給油することに。

??:?? 静岡県のどこかのガソリンスタンド

原付から降りると足はガクガクと震えており原付のスタンドを立てるのも一苦労だ。危うく原付を倒しそうになった。給油する為のタッチパネルを操作するのも大変なぐらい手も震えている。幸い客は私しか居なかったので良かったが、こんな所を誰かに見られたら完全にヤバい奴だと思われる。

なんとか給油も出来たので出発したい所なのだが、どうしても休憩したい欲求に駆られる。確かに島田市のコンビニを出発してから結構な時間が経ってるし、次のバイパスが原付で通行出来るのかも調べなければならない。ガソリンスタンドを見渡すと、自販機などが置いてある小さな休憩所があった。ここで次のバイパスについて調べながら少し休もう。

〜休憩所にて〜

ここは天国かと思った。だって椅子に座れるのだ。22時を過ぎてからというものどこのコンビニに行ってもイートインは使えなくなっていて、暖まりたいからコンビニに寄っているのにイートインは使えないし、出来るだけ長く暖かい店内にいる為に無駄に店の中をウロついたりもしたのだが、なんせ足が生まれたての子鹿のごとく震えているので歩くのもキツいし、不審者だと思われても困るので仕方なく暖かい店内を後にして、コンビニの外で冷たい風に吹かれながらコーヒーをすすっていたのだ。それがここでは室内な上に椅子に座れるではないか。夢の様だ。もうずっとここに居たい。なんだったらここで暮らしてもいい。ずっとここに居させて下さい。そう思えるほど嬉しかった。まぁ欲を言えばもう少し暖かければ良かったなぁ。多分あんまり暖房が効いてなくてちょっと寒かった(風がないだけ外に比べたらマシだけど)。まぁもしかしたら私の身体が冷え過ぎてただけで本当はちゃんと暖かかったという可能性もあるが笑。

そして、椅子に座ってさぁ道を調べようと思ったら、手が震え過ぎて文字がちゃんと打てない。これは大袈裟でもなんでもなく本当に打てないのだ。何度も挑戦してみたもののどうしても文字がうまく打てないので落ち着くまでしばらく休憩することに。休憩といっても特にやる事は無くただただ震えながら椅子に座っているだけだけど。少しすると、スタンドに一人しかいないであろう店員が中に入って来た。どうしよう、こんなにも震えているのを見られたら絶対にヤバい奴だと思われる。必死に平静を装っているのだがどうしても少しは震えてしまう。まぁでもこれくらいなら冬にバイクだし寒いんだろうなぁぐらいで済むかな。スマホを手に持って何かを見ているフリをしながら座ることにした。ふと足元を見るとコンセントがあった。そうだ!充電しないと!と思い店員にスマホを充電させてくれないか聞いてみることに。

挑戦者
挑戦者

あっ!あにょ!こおコンセントでsマホぉジューデンしてもいいdすか?(震え)

噛んだ。めちゃくちゃ噛んだ。全然舌がまわらない。恥ずかしすぎる…………

ちゃんと意味は伝わったかなとドキドキしていると、すごく不思議そうな顔をしながらいいですよと言ってくれた。もう二度と喋らないと心に誓いスマホを充電しながら少し休憩すると、手の震えもマシになってきたのでこの先の道を調べる。が、やはりまだまだバイパスが多くよくわからない。取り敢えず1号線を走って静岡から神奈川への突入を目指す事にする。よし、出発!と行きたい所なのだが、外の寒さを思うともう休憩所から出る気になれない。もう少し休憩しようと思い座っていると、ふと思い立った。ガソリンスタンドの店員ならこの辺りの道について詳しいんじゃないか?と思いさっきの誓いを早々に破って聞いてみる事にした。

慎重に…………

挑戦者
挑戦者

あのー、この辺の道とかって詳しかったりします…?

なんとか言えた……すると店員は、東京!?まだまだ先だよ!ここから原付で東京まで行くなんて無理だよ!やめた方がいいよ!と。おじさんの店員は言った。

挑戦者
挑戦者

でももう京都からここまで来ちゃったんですよねー笑

というと、絶句……といった表情になり言葉を失っていた。もう一度どの道が良いか聞くと、今からでも帰った方が良いと言う。今の季節だとこの先は雪が積もって原付じゃ通れない可能性もあるし、今まで通ってきた道とは訳が違うよ!と言われた。

雪か…………そんなことは出発前から想定していたに決まって……………

なかった。そんなの考えたことなかった。確かに………

次回 遂に完結! 最強の敵、静岡を乗り越えて無事東京に辿り着けるのか!?

そして、完結の先にある更なるストーリーとは……

続きはこちら!京都から東京まで原付で行ってみた 完結編

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