前回の記事はこちら!京都から東京まで原付で行ってみた スタート編
前回、がむしゃらに東に向かって走り続けた筆者。
そして、気付いたら名古屋にいた。
誰がこんな方法で三重から名古屋まで行けると予想しただろうか。名古屋にいるのに気付いた時、やはり私は天才なのだと思いニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら原付を走らせていた。馬鹿と天才は紙一重、とはよく言ったものだ。
順調に名古屋を走っていたのだが少し寒くなってきた。ここで2度目の休憩をとることにしよう。
15:30 名古屋市のコンビニ
コンビニに着いてすぐスマホの充電を確認してみると、バッテリー残量は50%まで回復していた。とはいえ頻繁にポケットから取り出すとすぐに冷たくなってしまいとてつもないスピードでバッテリー残量が減るのはもう目に見えている(さすがにもう学習した)ので、これまで通り太陽の位置を見ながら東に進む作戦でいく。が、ここでひとつ問題がでてきた。夜になり日が落ちてしまったら方角がわからなくなってしまう。冬なのでもう少ししたら暗くなってくるだろう。なので次の作戦を立てねばと考えた結果、全ての道順を覚えるのは不可能(もし覚えられたとしても一度でも道を間違えたら全て狂ってしまう)なので、とりあえず名古屋から静岡に入るまでに通るであろう市の名前を大体の位置と共に覚えた。そうすれば案内標識(青看板)さえあれば進む方向はわかるだろう。
コンビニで飲み物でも買おうと思い原付から降りると、足が少し動かしにくくなっていた。恐らく長時間同じ姿勢でいるからだろう。とりあえずトイレに行き、そのあと眠気覚ましにコーヒーでも飲みながら足を伸ばすことにする。ちなみにまだ眠くはないが、この先は眠気との戦いになると予想しているので今の内からカフェインを摂っておくことによって予防する作戦だ。効果があるのかについては不明だ。
缶コーヒーを買って外で足を伸ばしていると、結構寒くなってきた。耐えられない程では無いが、動き出すのが億劫に感じるぐらいには寒い。でもダラダラしている暇は無いので熱々の缶コーヒーをぐびぐびと飲み干し大好きなブルーハーツを聞いて気持ちを奮い立たせる。まだまだ心は折れていない。最高にロックだぜ。
16:00 名古屋のコンビニを出発
ホットコーヒーで身体も暖まってまた走り出す。時間に余裕がないので出来るだけ先を急ぎたいところだ。
思い返せばこの挑戦をすると決まった時、どうせなら少し観光もしようと思っていた。名古屋城や横浜辺りに行ってみたいな。通り道だったら少し寄ってみようかな。なんて思っていたのだが、今となってはそんな時間は微塵も無い。考える暇も無いし通り道にあるのかさえも知らない。どこにあるんだよ名古屋城。
まぁでも東京からの帰りになら時間に余裕があるので名古屋城は東京からの帰りにゆっくり寄るとしよう。
名古屋に入ってからは大きい道を道なりに行くことが多く、あまり迷うことなく順調に名古屋を抜けていった(迷っていることに気付いてないだけかも笑)。そして知立市、安城市、岡崎市といった具合に進んで行き、遂に愛知県の端っこで静岡との県境である豊橋市まで来た。もうすぐで静岡に突入! ……という所で大幅に時間をロスすることになる。
18:00 豊橋市
もうすぐ静岡だ!とワクワクしながら原付を走らせていると、突然目の前に現れた原付不可の看板。一瞬見た感じは高速道路っぽく、慌てて道を変え近くの停まれそうな場所で停車しスマホのマップで他の道を探す。すると他にも静岡まで続いてそうな道があったのでそっちへ向かうことにする。
目指していた道に着いたのだが、ここにも原付不可の看板が。またもや高速道路のような見た目で慌てて迂回して近くの停まれそうな場所で停車する。また道を探さなければならないのだが、もう一度道を探すにあたって自分で探すよりグーグルマップに探してもらった方が早いと思い、グーグルマップで経路を検索してみる。すると3つの経路が出てきたのだが、1つはたったいま原付不可で通れなかった道だった。高速道路、有料道路を迂回するように設定してあるのに何故この道を案内するのだろうと思いマップをよく見てみると、高速道路ではなくバイパスと書いてある。調べてみると自動車専用道で、原付(私が乗っている50cc)は通行出来ない。
つまり…… 歩行者、自転車、原付は通行出来ないが、一応ただの無料の大きい道なので高速道路、有料道路を迂回するに設定してもバイパス(無料の自動車専用道)には案内されてしまうという事だ。なのでグーグルマップが示す道は車では行けるかもしれないが原付では行けるとは限らない。ということは3つ出てきた経路のうち、後の2つも原付で通行できるかわからないということだ。
この辺りのバイパスについて調べてみると、原付が完全に通行禁止という訳ではなく、ここの交差点からここのインターまで、ここの交差点からどこかの分岐まで、という感じで排気量によっても禁止の区間があるがそれ以外は通行可能のようだ。なるほど。
どこだよ交差点。どこにあるんだよ分岐。その禁止の区間はどこなんだよ。交差点の名前やインターの名前が書いてあるがスマホのマップで探してその区間の迂回ルートを探すのは簡単ではない。少なくとも今からやるには時間的にも精神的にもスマホの充電的にも厳しい。厳し過ぎる。
この挑戦をする前に、大阪から東京を原付で行くなど同じような挑戦をした人の記事をたくさん読んで下調べをしていた。すると静岡ぐらいから原付が通れないバイパスがたくさん出てくるから事前に道を調べてルートを決めておこうなどと書いてあった。事前に調べようとしたのだが静岡のバイパスがかなり複雑で面倒くさくなってしまい、まぁ大丈夫だろうとやめてしまった。何の為の下調べだったのか笑 全然大丈夫じゃなかった。
そうこうしていると、この挑戦をしていることを知っている知人から、 楽しんでる?景色! という倒置法のふざけたLINEが来た。こっちはそれどころじゃないんだよ!と言いたくなったが向こうはそんなこと知るはずもない。そしてちょうど精神的にも少し参っていたので、相談がてら電話してみることに。
これまでの、スマホを使うと寒すぎてバッテリーが異常に減ってしまう事や、太陽の位置を見ながらひたすら東に向かって進み続けることでここまで来た事、そして今は原付では通れないバイパスに悩まされている事。
それを聞いた知人は爆笑していた。アホなんじゃないかと。京都から東京まで原付で行くんだからそりゃあそんな事にもなると。原付では通れないバイパスに困っている事については、笑いながらどうしようもないやろと言っていた。そして、まぁ事故せず頑張れよと励まされて電話は終了。何の解決にもならなかったが知人は面白そうに笑っていたので良しとしよう。
そして電話したりバイパスについて調べたりで、またまたスマホのバッテリー残量は20%程に。もう頑張って自分で道を探して行ってみて、無理だったら迂回してまた道を探す。これを繰り返すしかない。
ということで愛知県の端っこ豊橋市とそれに隣接する豊川市を5往復ぐらいして迷いに迷いながらも何とか静岡まで繋がっていて、大きいけど原付も通れる道を発見。そしてその道を走っていると、数km先 湖西市という看板があった。なんとなく静岡っぽい名前だ。静岡であることを祈りつつとりあえず湖西市までは頑張って走ってみて、着いたらスマホで自分の位置を確認しよう。日も落ちて昼間よりも寒いがまだ耐えられない程ではない。道が合ってることを祈りながら走ろう。
ようやく湖西市に入ったと思うと今度は浜名湖まで何kmという案内標識が出てきた。具体的な数字は覚えていないが、そんなに遠くなかったので浜名湖まで行ってみることに。もし全然違う方向に走っていてまだ静岡じゃなかったらどうしようかと思ったが、浜名湖という名前も静岡っぽいし、もう停まって確認するのもめんどくさいので合ってる方に賭けよう!……こんなことならちゃんと地理の勉強しとけば良かったなー。
そして浜名湖に到着!と思ったのも束の間、今度は浜松市まで何kmという案内標識が出てきた。
浜松……………静岡っぽい! 流石に静岡なんじゃないか? いや流石に静岡だろう。道は合っていたということだ。でも…………絶対に静岡だと言い切れる自信はない。一旦どこかに停まってスマホで確認してみようかな。いや!めんどくさ過ぎる!やっと順調に流れ出したんだ。それにもし停まってここが静岡ではなかった時の精神的ダメージを考えると恐ろしくてマップを見れない。よし、とりあえず浜松まで行こう。
ついに浜松市に到着。すると今度は静岡市まで何kmという案内標識が出てきた。静岡市だと!? ということは……ここは静岡だということだ!……心の底から安心した。多分静岡だろうとは思っていたが絶対の自信があった訳ではないし、もし道を間違えていて全然違う場所にいたら……と思うと確認するのが面倒くさいとか言いながら実は不安で不安で仕方が無かった。まぁでもとりあえず耐えた。そして安心したら急に寒くなってきたしお腹も空いてきた。静岡市は結構遠そうなのでここで本日3度目の休憩を取ることにしよう。
21:30 浜松市のコンビニ
コンビニに着いてすぐスマホを取り出しマップで今いる位置を確認した。位置情報は浜松市のコンビニになっている。そして浜松市は静岡県だった。本っっ当に良かった。ちなみに湖西市、浜名湖も静岡県だった。
ひと気のないコンビニの駐車場で1人胸を撫で下ろしていると急にとてつもなく寒くなった。身体はガクガクと震えだし歯はガチガチと音を立てている。コンビニまで歩くのも一苦労だ。とりあえず先にトイレを済ませてから晩ごはんを選ぶ。なんでもいいがとにかく温かいものがよかったので、眠気予防も兼ねた熱々の缶コーヒーとカップラーメンとおにぎりになった。イートインでテーブルにあるコンセントにスマホを繋いで充電し、買った晩ごはんを並べてみた。
いかにも若者の貧乏旅行といった感じだ。でも寒くて寒くてたまらない筆者にとってはそんなことはどうでもよく、むしろカップラーメンにお湯を注いでからの3分間が待ち遠しく感じた。ちなみに1分30秒でフライングした。この時食べたカップラーメンはいつもより格別に美味しく熱々のスープが身体に染み渡るようで、いつもはあまり飲まないのだが今回は全て飲み干してしまった。お腹もいっぱいになり少し暖まったところで今後の作戦を練ろう。昼間は我慢出来た寒さも夜になるとその強さを増し、ガクガクと震えることによって体力を消耗してしまっているのでもう少し寒さに備える必要がありそうだ。そこですぐ出来る防寒対策として、コンビニで貼るカイロを買って体中に貼りまくることにした。足のつま先に貼るタイプもあったのでそれも購入した。背中3ヶ所、お腹、つま先に貼った。いや足は寒くないですよ?冷たくなって歩きにくいから貼るだけで。冒頭でも言ったように決して寒くはないです。足なんて。
道も調べておきたい所だが、夜になり気温が下がった事もあってか思うようにスマホのバッテリーが増えずまだまだ少ないので取り敢えず今いる道を進み続けて原付が通れなくなったり道に迷ったりした時の為に温存しておくことにする。
コンビニを出て缶コーヒーを片手に一服する。身体も少し暖まり、カップラーメン美味しかったなぁと束の間の幸せを感じる。そう、束の間の。
嵐の前の静けさだった。このあと静岡にあんなにも翻弄されるとも知らずに……
次回 魔の静岡編! 静岡に仕掛けられた罠の数々とは……?
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